素敵な恋の忘れ方 すてきなこいのわすれかた
ねぎ秘密結社で公開されている小説。全体的にシリアス。桐島上総と蔵石沙織の物語その3。
残業に追われる事業企画部。今日も書類に埋もれている蔵石沙織は、
暫定的に事業企画部へ派遣され、仕事を手伝ってくれる湧木廉太郎とともに仕事をこなしていた。
そんな湧木から、突然「付き合ってくれませんか」と告白をされる。
湧木とはとても気の合う友達、断る理由もないからと、沙織は軽くOKしてしまった。
一方その頃、桐島上総は出張続きの日々で会社にはあまり顔を出していなかった。
久々に出社し、沙織とも久々に顔を合わせて嬉しく思うも、その場で沙織と湧木が交際を始めた
という事実を知って、ショックを受ける。
その後、遠山 満や東堂浪路の話から、沙織は湧木の告白をあっさりOKしたということを知った上総は
ものすごい形相で沙織を屋上公園へと連れ出した。
雨の中で感情をぶつけ合う二人。湧木が止めに入るも、上総の暴走は止まらない。
そして上総は沙織にこう告げる。「本気で誰かを愛するのが怖いんじゃないですか」。
屋上公園での一件の後、湧木と沙織は交際を続け、仲も深まってゆくが、
一方で上総と沙織は社内ですれ違っても言葉すら交わさなくなっていった。
上総とは元々何もないし、自分の恋人は湧木。何も問題も不安もない。
そう思い込ませるように仕事に打ち込んでいた沙織のもとに姉・瀬上奈津恵が現れる。
少しの会話で、沙織が何か悩みを抱えていることを見抜いた奈津恵。
沙織は、今までの上総との出来事、湧木との現状などを奈津恵に全て話した。
それを聞いた奈津恵の第一声は…「沙織は桐島さんのことが好きなのか」。
沙織は気づいた。そう聞かれるまで、上総への気持ちを自分で確認することなど、なかったのだ。
さらに奈津恵から「湧木との将来に何の不安もないのは、それだけ彼のことを
大して好きじゃないからだ」とまで言い切られる。
沙織は何も言い返せなかった。
姉の助言により、上総への想いを認識しつつある沙織。湧木からは仕事の都合でデートをドタキャンされたが
そんなことなど既にどうでもよくなっていた。
ぼんやりと商店街を歩いていると、上総が声を掛けて来た。彼が話しかけてくれることなど何ヶ月ぶりであろうか。
しかしこれは上総からの「最後の」言葉であった。屋上公園での出来事の謝罪、そして、
「湧木君と幸せになってください」……。
上総には見切りをつけられ、これで湧木との交際をなんの憂いもなく続けていける。それなのに…
自分の想いがどっち着かずのまま、沙織は湧木とのクリスマスイブを迎える。