暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様 ぼうくんふれすりーざ あいをわすれたおうじさま
ねぎ秘密結社で公開されている小説。全体的にシリアス。
フレスリーザ・レオンハルトが記憶を失った理由などが判明する話。
記憶を失った状態でねぎ社に拾われたという過去を持つリーザ。
相変わらず日本語は覚えられず、異動した先の国際部でもそれは変わらなかった。
が、リーザの新たな上司となった白鳥夜半が、彼の様子を見ているうちに
彼は何らかの魔導により過去の記憶を封印されていることに気づく。
夜半の手によれば記憶を戻すのは簡単らしく、早速リーザ自身に記憶を取り戻すか否かを問う。
リーザは、記憶を失ったことにより苦労をかけている、息子かもしれないパノスのために記憶を取り戻すことを決意する。
そして封印は解かれ、リーザは本来の人格と記憶を取り戻すが…彼の本性はとてつもなく乱暴者であり、
しかも魔導師であることが判明する。
問答無用で暴れ出し、その場にいた瀬上奈津恵や夜半に食って掛かるが、夜半によりあっけなく撃退。
「真の」リーザは夜半らに復讐を誓い、姿を消してしまう。
その後、リーザは会社の名を使い、様々な嫌がらせ…のようなものを展開する。
が、嫌がらせのようにみえて、結果的には嫌がらせになっていない、という奇妙な行動をとり始める。
彼を捕まえようとするも、魔導を駆使した逃げ足が速すぎてなかなか捕まえられないでいた。
次にリーザが企てたのは、東京タワーの爆破。予告状を大々的に出し、タワーには野次馬がごった返していた。
その中には、奈津恵から指令を受けた大島 橘の姿もあった。
リーザの思惑を、能力を使って読み取ってくるのが彼の使命であった。
そして爆破予告時間、本当に爆発が起こった。今度こそリーザは本気で復讐を…!?
と思いきや、どうやらそうではないらしい。
その場に夜半も駆けつけ、ようやくリーザを捕獲。
橘は能力を使い、彼の思惑と、とても悲しく、辛い心の内までも読み取る。
そして彼の内に眠る、「元の」リーザの人格を呼び起こし、「真の」リーザと対話させ、和解させようとするが、
「真の」リーザは意地を張って素直になろうとしない。
「真の」リーザが今まで騒ぎを起こしていたのは、寂しかったからだと、「元の」リーザは言う。
幼少時から命を狙われたり、騙されたりばかりの人生だったリーザは、自分以外の何をも信じられなくなってしまった。
こんな人生を止めてしまいたい…そう思ったが、死ぬ勇気はなく、
自分が心の奥で理想としていた人格…「元の」リーザを作り出し、記憶を封印して日本で第二の人生を歩もうとしていたのだ。
だが周りに深く追求されないよう、日本語を覚えられない呪いを自分の掛けていたのだった。
全て忘れて平穏に暮らしていたのに、今更記憶の封印を解かれて、どうしていいか分からないリーザ。
自分で作り出した新たな人格のようになりたくても、受け入れることができない。
混乱したリーザは、橘と夜半の隙を突いて東京タワーの頂上付近に空間移動し、
そのまま飛び降りてしまった――――――