最期の恋 さいごのこい
ねぎ秘密結社で公開されている小説。全体的にシリアスのはず。
元々はねぎ秘密結社ニュースでの単発小説だったものを長編小説化したもの。
長谷川恵莉から、バレンタインデーに告白された烏丸雪彦。
ホワイトデーに彼女を呼びだしてお返しをするも、告白自体は断ってしまっていた。
しかしそれには、彼自身に深刻で重大な理由があったからであった。
それは…雪女族の男は20代か30代くらいで寿命を迎え、早死にしてしまうということ。
もうすぐ死んでしまう自分に、恵莉を幸せにできるわけがないと思ったからであった。
だがその後、雪彦は満月の夜に会社の屋上公園に白鳥夜半を呼び出した。
吸血鬼である彼に血を吸ってもらい、吸血鬼にしてもらえば延命できると考えたからである。
しかし夜半に断られ、さらには自分の持つ寿命でどうにかしようという気がないなら
長生きしても何もできやしない、と一喝されてしまう。
夜半に諭され自分の命の限りで頑張ろうと思った雪彦は、再度恵莉を呼び出し、
全ての事情を正直に話し、彼女との交際を始める。
その後、雪彦と恵莉の交際はとても順調であったが、その陰では雪女族の延命方法を模索する苦労の毎日であった。
とある夏の日、雪彦は屋上公園で能力を暴発させて倒れてしまう。
その場に居合わせた夜半に助けられるが、これが発端で雪彦の寿命は後わずかであることが判明する。
そこで上京してきた姉・吹雪から、雪女族の男の唯一の延命方法を聞かされるが、
それは「相思相愛である女の身も心も命も奪うこと」という過酷なものであった。
吹雪と口論になり再度能力を暴発させる雪彦。寿命はどんどん縮まっていってしまう。
吹雪により暑い東京よりも青森の実家に戻り余生を過ごす方が良いと判断された雪彦は、
恵莉にまともな別れの挨拶する余裕もなく会社を辞め、実家に向かってしまう。
別れの挨拶を簡単なメールひとつで済まされてしまった恵莉は、納得がいかず
部署の先輩・東堂浪路の説得もあって、自分の千里眼の能力を生かし、雪彦の後を追いかけて
青森の山奥にある雪女族の村へと向かう。
なお、何かと雪彦の行く末を気に掛けていた夜半も、彼の突然の退社と、
恵莉が長期休暇を取ったとの知らせを耳にした後、同じく青森へと向かうこととなる。
姉と共に雪女族の村に着いた頃には、雪彦は既に余命いくばくもなかった。
彼らの「母」である山神の前へと連れてこられ、天命を迎えようとしたその時、
追いかけてきた恵莉と浪路と対面するが…雪女族の男は死ぬと雪男へと生まれ変わり、
山を護る存在となる、と山神から知らされた二人の目の前で、雪彦は山神により雪男へと転生させられてしまう。
雪男の雪彦は、生まれ変わる前の記憶を無くしてしまう。雪男でも雪彦であることには変わりはない、
と逃げずに立ちはだかる恵莉に容赦なく襲いかかった。
そこに後から追いかけてきた夜半が現れる。愛する者すら見分けがつかない雪男の姿でいるのは
心優しい雪彦ならば耐えられないであろう、と判断した夜半はひと思いに彼を殺そうとするが
それを恵莉が身体を張って止めに入る。
遂に雪男の雪彦は恵莉に噛みついてしまうが、恵莉は彼が望むならこのまま殺されても構わない、と逃げようともしない。
その時、信じられない奇跡が起きる――――――。