Illusion Night いりゅーじょんないと
ねぎ秘密結社で公開されている小説。シリアスそしてちょっと大人の世界。
桐島上総と蔵石沙織の物語その1。
蔵石沙織は、久我恭一郎に仕事の資料を借りるために開発研究室の別館を訪れた。
だが久我は留守で、桐島上総が留守を預かってるのみであった。
あらかじめ資料を預かっていた上総は、それを沙織に渡す。その時に沙織は、上総の様子がどこかおかしいことに気づく。
顔を真っ赤にする上総を問いつめる沙織だが、その日はその場から逃げられてしまった。
数日後、今度は資料を返しにまた沙織が訪れた。またしても久我は留守で上総だけと鉢合わせる。
沙織はここ数日、上総が自分を見るなり避けたり逃げたりしていることは、とっくに気づいていた。
怒りながら一体なんなのかと詰め寄る沙織。そんな彼女を見て、上総は突然泣き出してしまう。
彼が沙織を避ける理由は、決して悪意ある理由ではなかったのだ。
上総は沙織に全て話すと誓い、食堂にある長椅子に二人並んで話し始める。
上総は22歳の時に妻を病で亡くしている。その妻は実は沙織にそっくりで、沙織を見るたびに妻を思いだしてしまい、
近くにいると想いを抑えきれずに、沙織をどうにかしてしまいそうで怖かったと告白する。
隣で背中を丸め、震え泣く上総を見て、沙織は…。