―――6月――― ろくがつ
ねぎ秘密結社で公開されている小説。全体的にシリアス。
成沢眞妃とハインリヒ=明=相原(現・成沢 明)の物語の序章。
6月の、ある雨の日。成沢眞妃はかつての恋人・ハインリヒ=明=相原との過去を振り返る。
2年前、同期で入社した眞妃と明。まだ来日して間もない明はろくに日本語が出来ずにいた。
英語の堪能な眞妃は、そんな彼を励まそうと英語で語りかける。久々に耳にした母国語で安心しきった彼とは
そのまま意気投合し、話が盛り上がり、遅くまで喫茶店で語り合った。
その時から二人は惹かれ合っていた。
それから眞妃は明のことが気になって仕方がなかった。だが新入社員研修を終えてから数ヶ月後、
今まで仲良くやっていたはずの明が眞妃を避け始めた。不安を覚えた眞妃は落ち着かず仕事でもミスが目立つようになる。
たまらず明に理由を問いつめると、自分は日本語もうまく覚えられず、役に立たないからと支社に飛ばされるとの噂があるという。
そんな中同期入社である眞妃がとても優秀と評判で、嫉妬すると同時に眞妃は自分などいなくても平気で、
どんどん置いていかれるだろうと言う不安に駆り立てられていたのだ。
立場は逆でも不安に思っている気持ちは同じだった。眞妃は彼を支えるために想いを打ち明けた。
その後、二人は交際を始め、眞妃が日本語の勉強を手伝ったおかげもあり、明の日本語能力と成績もぐんぐんと上がっていった。
全てが順調に思われていたある日、明は従兄であるジョルジュ佐藤と同居をすることになった。
在日歴が明よりも長いジョルジュに日本語も教えてもらえばいい、と眞妃は軽く受け流すが、これが全ての悲劇の始まりとなる。
実はジョルジュは同性愛者で、盲目的に明を愛しており、眞妃と引き離そうと企んでいたのだ。
ジョルジュは、執拗に明に迫り、オカマ言葉を教え込み、眞妃と仲良くすれば彼女に危害を加えると脅迫した。
とりあえずはジョルジュの言うことを聞き、眞妃を守ることに徹していた明だが、
ある日とうとう彼といるところを眞妃に目撃され、誤解されてしまう。
眞妃は明の弁解を聞こうともせず、二人の交際は終わりを告げた。
そして現在…。